こ》るようなものが多く、中でも、小説と随筆《ずいひつ》とには、世界的《せかいてき》な傑作《けっさく》が少なくありません。
ここにのせた「母の話《はなし》」は、その追憶風《ついおくふう》の小説『ピエール・ノジエール』の中の一|章《しょう》で、これだけ読《よ》めばアナトール・フランスがみんなわかるというようなものではありませんけれど、まずまず、どんな人か見当《けんとう》がつくでしょう。
非常に物《もの》しりですが、わざわざむずかしいことをいわない。なんでもないことをいっているようで、よく読《よ》んでみると、なかなか誰《だれ》にでもいえないことをいっている。ちょっと皮肉《ひにく》なところがありますが、優《やさ》しい微笑《びしょう》をたたえた皮肉で、世の中の不正や醜《みにく》さに、それとなく鋭《するど》い鋒先《ほこさき》を向けています。
何よりも、力《りき》み返《かえ》ること、大声《おおごえ》を立てることが嫌《きら》いです。どんなことでも、静かに話せばわかり、また、静かに話《はな》し合《あ》わなければ面白《おもしろ》くないという主義《しゅぎ》なのです。
熱情《ねつじょう》も時には素晴《
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