いた瘤《こぶ》を持《も》って出て、
「それ、返《かえ》すぞ。」
 とわめきながら、瘤《こぶ》のない右《みぎ》のほおへぽんとたたきつけました。
 お隣《となり》のおじいさんは、
「あっ。」
 とさけびましたが、もう追《お》っつきませんでした。両方《りょうほう》のほおへ二つ瘤《こぶ》をぶら下《さ》げて、おいおい泣《な》きながら、山を下《くだ》って行きました。



底本:「日本の古典童話」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年6月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:林 幸雄
2006年7月28日作成
青空文庫作成ファイル:
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