かげ》であった。母親《ははおや》をかくした百姓《ひゃくしょう》の罪《つみ》はむろん許《ゆる》してやるし、これからは年寄《としより》を島流《しまなが》しにすることをやめにしよう。」
こう殿様《とのさま》はおっしゃって、お百姓《ひゃくしょう》にたくさんの御褒美《ごほうび》を下《くだ》さいました。そして年寄《としより》を許《ゆる》すおふれをお出《だ》しになりました。国中《くにじゅう》の民《たみ》は生《い》き返《かえ》ったようによろこびました。
お隣《となり》の国《くに》の殿様《とのさま》もこんどこそ大丈夫《だいじょうぶ》と思《おも》って出《だ》した難題《なんだい》を、またしてもわけなく解《と》かれてしまったのでがっかりして、それなり信濃国《しなののくに》を攻《せ》めることをおやめになりました。
底本:「日本の諸国物語」講談社学術文庫、講談社
1983(昭和58)年4月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:土屋隆
2006年9月21日作成
2009年9月15日修正
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