にぎやかな舞踏会《ぶとうかい》でした。
みんなが、たっぷりおどりぬいてしまうと、王女は、もうここらでかえりましょう、お城が大さわぎになるからといいました。そこで、魔法つかいは、せめて途中までいっしょにいられるように、そこまで送っていくといいました。
そこで、ふたりは、ひゅうひゅう、ひどいあらしのふくなかへとびだした。旅なかまは、ここぞと三本のむちで、ふたりのせなかもくだけよとばかり、したたかぶちのめしました。さすがの魔法つかいも、これほどはげしいあられ空に、そとへでたのははじめてでした。さて、お城ちかくまで来たとき、いよいよわかれぎわに、魔法つかいは王女の耳のはたに口を寄せて、
「わしのあたまをかんがえてこらん。」といいました。けれども、旅なかまは、それすらのこらず耳にしまい込んでしまいました。そうして、王女が窓からすべりこむ、魔法つかいが引っかえそうとするとたん、ぎゅッと魔法つかいのながい黒ひげをつかむがはやいか、剱をひきぬいて、そのにくらしい顔をした首を、肩のつけ根からずばりと切りおとしました。まるで、相手にこちらの顔をみるすきさえあたえなかったのです。さて、その首のないむくろ
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