めにもなり、げんきもついて来ました。
明け方のうすあかりでみると、空気はすみきって風もおだやかでした。お日さまがのぼるとすぐ、はくちょうたちはエリーザをつれて、この島をぱっととび立ちました。海はまだすごい波が立っていました。やがて高く舞り上がって、下をみると、紺青《こんじょう》の海のうえに立つ白いあわは、なん百万と知れないはくちょうが、水のうえでおよいでいるようでした。
お日さまがいよいよ高く高くのぼったとき、エリーザは目のまえに、山ばかりの国が半分空のうえに浮いているのをみつけました。その山のいただきには、まっしろに光る氷のかたまりがそびえ、そのまんなかに、なんマイルもあろうとおもわれるお城が立っていて、そのまわりにきらびやかな柱がいくつもいくつもならんでいました。エリーザはこれがみんなのいこうとする国なのかとたずねました。けれどはくちょうたちは首をふりました。なぜというにエリーザの今みたのは、しんきろう[#「しんきろう」に傍点]といってりっぱに見えても、それはたえずかわっている雲のお城で、人のいけるところではなかったのです。なるほどエリーザがみつめているうちに、山も林もお城も
前へ
次へ
全44ページ中23ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング