エリーザはみました。一羽また一羽と、あとからあとから行儀よくつづいてくるのでそれはただひとすじながくしろい帯をひいてとるようにみえました。そのときエリーザは坂にあがって、そっとやぶかげにかくれました。はくちょうたちは、すぐそのそばへおりて来て、大きな白いつばさをばたばたやりました。いよいよお日さまが海のなかにしずんでしまうと、とたんに、はくちょうの羽根がぱったりおちて、十一人のりっぱな王子たちが、エリーザのおにいさまたちが、そこに立ちました。エリーザはおもわず、あッと大きなさけび声をたてました。それはおにいさまたちはずいぶん、せんとかわっていました。けれど、やはりそれにちがいないことが、すぐとわかったからでした。そこでみんなの腕のなかにとびこんでいって、ひとりひとり、名まえをよびました。王子たちは、そうして王女がまたでて来たのをみて、それはもうせいも高くなり、きりょうもずっとうつくしくなってはいましたけれど、じぶんたちのいもうとということがわかって、いいようもなくうれしくおもいました。みんなは泣いたりわらったりしました、そうして、こんどのおかあさまが、きょうだいのこらずに、どんなにひど
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