あわせでした。でもものごとはいつでもおなじようにはいかないものです。
 この国のこらずの王さまであったおとうさまは、わるいお妃《きさき》と結婚なさいました。このお妃がまるでこどもたちをかわいがらないことは、もうはじめてあったその日からわかりました。ご殿じゅうこぞって、たいそうなお祝の宴会がありました。こどもたちは「お客さまごっこ」をしてあそんでいました。でも、いつもしていたように、こどもたちはお菓子や焼きりんごをたくさんいただくことができませんでした。そのかわりにお茶わんのなかに砂を入れて、それをごちそうにしておあそびといいつけられました。
 その次の週には、お妃はちいちゃないもうと姫のエリーザを、いなかへ連れていって、お百姓の夫婦にあずけました。そうしてまもなくお妃はかえって来て、こんどは王子たちのことでいろいろありもしないことを、王さまにいいつけました。王さまも、それでもう王子たちをおかまいにならなくなりました。
「どこの世界へでもとんでいって、おまえたち、じぶんでたべていくがいい。」と、わるいお妃はいいました。「声のでない大きな鳥にでもなって、とんでいっておしまい。」
 でも、さ
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