います。そこには赤いばらの花をいっぱいつけた生垣が、高く大きくゆいまわされて、そのいちばんうえに、星のようにかがやく白い花が一りん吹いていました。その花を王さまはつみとって、エリーザの胸にのせました。するとエリーザはふと目をさまして、心のなかは平和と幸福とでいっぱいになりました。
 そのとき、のこらずのお寺の鐘がひとりでに鳴りだしました。小鳥たちがたくさんかたまってとんで来ました。それから、それはどんな王さまもついみたこともないようなさかんなお祝の行列が、お城にむかって練《ね》っていきました。
[#挿絵(fig42384_04.png)入る]



底本:「新訳アンデルセン童話集第一巻」同和春秋社
   1955(昭和30)年7月20日初版発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
入力:大久保ゆう
校正:秋鹿
2006年1月18日作成
青空文庫作成ファイル:
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