ました。
明《あ》くる日《ひ》の朝《あさ》、いつまでもお二人《ふたり》ともお目《め》ざめにならないので、おそばの人たちが不思議《ふしぎ》に思《おも》って、そっと御堂《おどう》の中《なか》に入《はい》ってみますと、お二人《ふたり》はまくらを並《なら》べたまま、それはそれは安《やす》らかに、まるでいつもすやすやお休《やす》みになっているような御様子《ごようす》で、息《いき》を引《ひ》き取《と》っておいでになりました。お体《からだ》からはぷんと高《たか》く、かんばしいにおいが立《た》ちました。太子《たいし》のお年《とし》は、四十九|歳《さい》でございました。
太子《たいし》のおかくれになった日、シナの衡山《こうざん》からとっておいでになった古《ふる》い法華経《ほけきょう》も、ふと見《み》えなくなりました。それもいっしょに持《も》っておいでになったのだろうということです。
底本:「日本の英雄伝説」講談社学術文庫、講談社
1983(昭和58)年6月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:今井忠夫
2004年1月6日作成
青空文庫作成ファイル:
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