って、それをお姫《ひめ》さまへのおくりものにしよう、とおもったからです。
 そうこうするうちに、いよいよ、妖女たちは、それぞれ、お姫さまにおくりもののことばをのべることになりました。なかで、いちばん若い妖女は、お姫さまが世界一美しい人になられますように、といいました。つぎの妖女は、天使のようなおこころがさずかりますように、といいました。三ばんめの妖女は、王女のたちいふるまいの、やさしく、しとやかにありますように、といいました。四ばんめの妖女は、たれおよぶもののないダンスの上手《じょうず》になられますように、といいました。五ばんめの妖女は、小夜啼鳥《さよなきどり》のような、やさしい声でおうたいになりますように、といいました。六ばんめの妖女は、どんな楽器《がっき》にも、名人《めいじん》の名をおとりになりますように、といいました。いよいよおしまいに、おばあさんの妖女の番になりました。この妖女は、さもいまいましそうに首をふりながら、王女は、その手を糸車のつむ[#「つむ」に傍点]にさされて、けがをして死ぬだろうよといいました。
 このおそろしいおくりものは、身ぶるいの出るほど、みんなをびっくりさ
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