は「朝」という名でした。下の子は男の子でこれは「昼《ひる》」という名でした。そのわけは、弟のほうが、ねえさんよりも、ずっとりっぱで、美しかったからでございます。
それからまた二年たって、王様がおかくれになって、王子が、新しい王様の位につくことになりました。そこではじめて、天下《てんか》はれて、王女と結婚《けっこん》のしだいを、国じゅうに知らせました。そうして、りっぱな儀式《ぎしき》をととのえて、あらためて、眠る森から、お姫さまをお迎えになりました。王女はふたりのこどもを両わきにのせ、美しい行列の馬車をそろえて、王様のお城に乗りこみました。
美しいりっぱな、いい心をもったあいてを、待っているということは、むずかしいことです。でも、待つことによって、幸福はましこそすれ、へるということはありません。
底本:「世界おとぎ文庫(イギリス・フランス童話篇)妖女のおくりもの」小峰書店
1950(昭和25)年5月1日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
※底本では見出し「一」はページ上部に挿し絵があるため、
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