がまは、
「そうですね。わたしもくたびれましたから、ここらで少《すこ》し休《やす》ませてもらいましょうか。」
 と言《い》いました。
 そこでくず屋《や》は文福《ぶんぶく》茶《ちゃ》がまに、見世物《みせもの》でもうけたお金《かね》を半分《はんぶん》そえて、茂林寺《もりんじ》の和尚《おしょう》さんの所《ところ》へ持《も》って行きました。
 和尚《おしょう》さんは、
「ほい、ほい、それは奇特《きどく》な。」
 と言《い》いながら、茶《ちゃ》がまとお金《かね》を受《う》け取《と》りました。
 文福《ぶんぶく》茶《ちゃ》がまもそれなりくたびれて寝込《ねこ》んででもしまったのか、それからは別段《べつだん》手足《てあし》が生《は》えて踊《おど》り出《だ》すというようなこともなく、このお寺《てら》の宝物《ほうもつ》になって、今日《こんにち》まで伝《つた》わっているそうです。



底本:「日本の神話と十大昔話」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年5月10日第1刷発行
   1992(平成4)年4月20日第14刷発行
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年8月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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