墓《はか》を立《た》てました。
 ところが川のそばですから、雨《あめ》がふって、水《みず》がふえて、河原《かわら》に水《みず》が流《なが》れ出《だ》すたんびに、小石《こいし》と砂《すな》がくずれ出《だ》して、お墓《はか》もいっしょに流《なが》れていきそうになりました。子鳩《こばと》はよけい親鳩《おやばと》をこいしがって、ぽっほ、ぽっほといつまでも悲《かな》しそうになきました。
 せっかく孝行《こうこう》な子供《こども》になろうと思《おも》っても、親《おや》のいなくなったのを、鳩《はと》は今《いま》でもくやしがっているのだそうです。



底本:「日本の諸国物語」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年4月10日第1刷発行
※底本の「物のいわれ(上)」「物のいわれ(下)」をひとつにまとめました。
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年9月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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