》らしく手《て》を合《あ》わせて、和尚《おしょう》さんをおがみました。
和尚《おしょう》さんはしばらく考《かんが》えていましたが、
「なるほど、そう聞《き》くと気《き》の毒《どく》だが、お前《まえ》の方《ほう》にもいろいろ悪《わる》いことがあるよ。まあ、お前《まえ》たちも人のすてたものや、そこらにこぼれた物《もの》を拾《ひろ》って食《た》べていればいいのだが、これまでのように、夜昼《よるひる》かまわず、人のうちの中をかけまわって盗《ぬす》み食《ぐ》いをしたり、着物《きもの》を食《く》いやぶったり、さんざん悪《わる》いいたずらばかりしておきながら、今更《いまさら》猫《ねこ》に苦《くる》しめられるといって泣《な》き言《ごと》を言《い》いに来《き》ても、それは自業自得《じごうじとく》というもので、わたしにだってどうしてもやられないよ。」
こう言《い》われて、ごま塩《しお》ねずみもがっかりして、すごすご帰《かえ》っていきました。
もとの縁《えん》の下《した》へ帰《かえ》って来《き》てみますと、じいさんねずみも、若《わか》ねずみも、大《おお》ねずみも、小《こ》ねずみもみんなさっきのままで、
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