《む》かって言《い》いました。
「これ、これ、お前《まえ》たちもせっかくねずみたちがああ言《い》うものだから、こんどはこれでがまんして、この先《さき》もうねずみをいじめないようにしておくれ。その代《か》わりまた、ねずみが悪《わる》さをはじめたら、いつでも見《み》つけ次第《しだい》食《く》い殺《ころ》してもかまわない。どうだね、それで承知《しょうち》してくれるか。」
「よろしゅうございます。ねずみが悪《わる》ささえしなければ、わたくしどももがまんして、あわび貝《かい》でかつ節《ぶし》のごはんや汁《しる》かけ飯《めし》を食《た》べて満足《まんぞく》しています。」
こう猫《ねこ》たちが声《こえ》をそろえて言《い》いますと、和尚《おしょう》さんも満足《まんぞく》らしく、にこにこ笑《わら》って、
「さあ、それでやっと安心《あんしん》した。ねずみは猫《ねこ》にはかなわないし、猫《ねこ》はやはり犬《いぬ》にはかなわない。上には上の強《つよ》いものがあって、ここでどちらが勝《か》ったところで、それだけでもう世《よ》の中に何《なに》もこわいものがなくなるわけではないし、世《よ》の中が自由《じゆう》にな
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