》を頼《たの》むよりしかたがないと思《おも》いまして、この間《あいだ》から橋《はし》の上に寝《ね》て待《ま》っていたのでございます。けれどもみんなわたくしの姿《すがた》を見《み》ただけで逃《に》げて行ってしまうのでございます。これでは世《よ》の中にほんとうに強《つよ》い人というものはないものかと、じつはがっかりしておりました。それがただ今《いま》あなたにお目にかかることができて、こんなにうれしいことはございません。どうかわたくしたちのために、あのむかでを退治《たいじ》しては頂《いただ》けますまいか。」
こういって龍王《りゅうおう》はていねいに頭《あたま》を下《さ》げました。藤太《とうだ》はやさしい、情《なさ》けぶかい武士《ぶし》でしたから、
「それはどうも気《き》の毒《どく》なことだ。ではさっそく行って、そのむかでを退治《たいじ》してあげよう。」
といいました。龍王《りゅうおう》はたいそうよろこんで、
「では御案内《ごあんない》をいたしましょう。どうかごくろうでも、湖《みずうみ》の底《そこ》の私《わたくし》の住《す》まいまでお越《こ》し下《くだ》さいまし。」
こういいながら橋《は
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