桃太郎
楠山正雄
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)しば刈《か》り
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)きじが一|羽《わ》とんで
[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ]
−−
一
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。まいにち、おじいさんは山へしば刈《か》りに、おばあさんは川へ洗濯《せんたく》に行きました。
ある日、おばあさんが、川のそばで、せっせと洗濯《せんたく》をしていますと、川上《かわかみ》から、大きな桃《もも》が一つ、
[#ここから4字下げ]
「ドンブラコッコ、スッコッコ。
ドンブラコッコ、スッコッコ。」
[#ここで字下げ終わり]
と流《なが》れて来《き》ました。
「おやおや、これはみごとな桃《もも》だこと。おじいさんへのおみやげに、どれどれ、うちへ持《も》って帰《かえ》りましょう。」
おばあさんは、そう言《い》いながら、腰《こし》をかがめて桃《もも》を取《と》ろうとしましたが、遠《とお》くって手がとどきません。おばあさんはそこで、
[#こ
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