。失礼《しつれい》ではございますが、わたくしどももちょうど酒《さけ》を持《も》ってまいりましたから、この方《ほう》も飲《の》んで頂《いただ》きたいものです。」
といいました。
「それはありがたい。それでは酒盛《さかも》りをはじめようか。」
童子《どうじ》はこういって、大《おお》ぜいの腰元《こしもと》や家来《けらい》にいいつけて、酒《さけ》さかなを運《はこ》ばせました。酒呑童子《しゅてんどうじ》はそれでもまだ油断《ゆだん》なく、六|人《にん》の山伏《やまぶし》を試《ため》してみるつもりで、
「それではまず客人《きゃくじん》たちに、わたしの勧《すす》める酒《さけ》を飲《の》んでもらって、それからこんどはわたしがごちそうになることにしよう。」
といって、酒呑童子《しゅてんどうじ》は大《おお》きな杯《さかずき》になみなみ人間《にんげん》の生《い》き血《ち》を絞《しぼ》って入《い》れて、
「さあ、この酒《さけ》を飲《の》め。」
といって、頼光《らいこう》にさしました。頼光《らいこう》は困《こま》った顔《かお》もしないで、一息《ひといき》に飲《の》みほしてしまいました。それから保昌《ほうし
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