人馬
楠山正雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)坊《ぼう》さん
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|人《にん》
−−
一
むかし、三|人《にん》の坊《ぼう》さんが、日本《にっぽん》の国中《くにじゅう》を方々《ほうぼう》修行《しゅぎょう》して歩《ある》いていました。四国《しこく》の島《しま》へ渡《わた》って、海《うみ》ばたの村《むら》を托鉢《たくはつ》して歩《ある》いているうちに、ある日いつどこで道《みち》を間違《まちが》えたか、山の中へ迷《まよ》い込《こ》んでしまいました。行けば行くほどだんだん深《ふか》い深《ふか》い山道《やまみち》に迷《まよ》い込《こ》んで、どうしてももとの海《うみ》ばたへ出ることができません。そのうちにだんだん日が暮《く》れてきて、足もとが暗《くら》くなりました。気《き》をあせればあせるほどよけい道《みち》が分《わ》からなくなって、とうとう人の足跡《あしあと》のない深《ふか》い山奥《やまおく》の谷《たに》の中に入《はい》り込《こ》んでしまいました。もう道《みち》のない草《くさ》の中をやたらに踏《ふ
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