と見送れるだけ見送っていました。いよいよすがたが見えなくなってしまうと、いきなりそこに泣きふしてしまいました。
そのとき、ふと、サンドリヨンの洗礼式《せんれいしき》に立ち合った、名づけ親の教母《きょうぼ》が出て来て、むすめが泣きふしているのを見ると、どうしたのだといって、たずねました。
「わたし、行きたいのです。――行きたいのです。――」こういいかけて、あとは涙で声がつまって、口がきけなくなりました。
このサンドリヨンの教母というのは、やはり妖女《ようじょ》でした。それで、
「あなたは、ぶとう会に行きたいのでしょう。そうじゃないの。」と聞きました。
「ええ。」と、サンドリヨンはさけんで、大きなため息をひとつしました。
「よしよし、いい子だからね、あなたも行かれるように、わたしがしてあげるから。」と、妖女はいいました。そうして、サンドリヨンの手を引いて、そのへやへつれて行きました。
「裏《うら》の畠へ行って、かぼちゃをひとつ、もぎとっておいで。」
サンドリヨンは、さっそく行って、なかでもいちばんいいかぼちゃをよって、妖女のところへ持ってかえりました。けれども、このかぼちゃで、どうし
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