て、ぶとう会へ行けるのか、さっぱり考えがつきませんでした。
 かぼちゃを受けとると、妖女は、そのしん[#「しん」に傍点]をのこらずくり抜いて、皮だけのこしました。それから妖女《ようじょ》は、手に持ったつえ[#「つえ」に傍点]で、こつ、こつ、こつと、三どたたくと、かぼちゃは、みるみる、金ぬりの、りっぱな馬車にかわりました。
 妖女は、それから、台所《だいどころ》のねずみおとしをのぞきに行きました。するとそこに、はつかねずみが六ぴき、まだぴんぴん生きていました。
 妖女は、サンドリヨンにいいつけて、ねずみおとしの戸をすこしあげさせますと、ねずみたちが、うれしがって、ちょろ、ちょろ、かけ出すところを、つえ[#「つえ」に傍点]でさわりますと、ねずみはすぐと、りっぱな馬にかわって、ねずみ色の馬車馬が六とう、そこにできました。けれども、まだ御者《ぎょしゃ》がありませんでした。
「わたし行って、見て来ましょう。大ねずみが、まだ一ぴきかかっているかもしれませんから。それを御者にしてやりましょう。」
「それがいいわ。行ってごらん。」と、妖女はいいました。
 サンドリヨンは行って、ねずみおとしを持って来ましたが、そのなかに、三びき、大ねずみがいました。妖女は三びきのうちで、いちばんひげのりっぱな大ねずみをより出して、つえでさわって、ふとった、元気のいい御者にかえました。それはめったに見られない、ぴんとした、りっぱな口ひげをはやしていました。それがすむと、妖女《ようじょ》は、サンドリヨンにむかって、
「もういちど、裏《うら》のお庭へ行って、じょろ[#「じょろ」に傍点]のうしろにかくれているとかげを六ぴき、見つけていらっしゃい。」といいました。
 サンドリヨンは、いいつけられたとおり、とかげをとってかえりますと、妖女はすぐ、それを六人のべっとうにかえてしまいました。それは、金や銀のぬいはく[#「ぬいはく」に傍点]のある、ぴかぴかの制服《せいふく》を着て、馬車のうしろの台《だい》にのりました。そうして、そこに、ぺったりへばりついたなり、押しっくらしていました。そのとき、妖女は、サンドリヨンにいいました。
「ほら、これでダンスに行くお供ぞろいができたでしょう。どう、気に入って。」
「ええ、ええ、気に入りましたとも。」と、サンドリヨンは、うれしそうにさけびました。「けれどわたし、こんなきたないぼ
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