こえた。マチアはふるえていた。わたしもふるえていた。
「寒いね」とかれはささやいた。わたしたちをふるえさせるのは寒さのためだけであったろうか。
やがて往来《おうらい》に足音がした。ボブは帰って来た。わたしの運命が決められた。胴服《どうふく》を着て油じみたぼうしをかぶったぶこつな顔つきの船乗りが、ボブといっしょに来た。
「これがぼくの兄貴《あにき》だ」とボブが言った。「きみたちを船に乗せて行ってくれるはずだ。そこでぼくはここでお別《わか》れとしよう。だれもぼくがきみをここへ連《つ》れて来たことを知るはずがないよ」
わたしはボブに礼を言おうとしたが、かれは手短に打ち切った。わたしはかれの手をにぎった。
「それは言いっこなしだ」とかれは軽く言った。「きみたち二人は、このあいだの晩《ばん》ぼくを助けてくれた。いいことをすればいい報《むく》いがあるさ。それでぼくもマチアの友だちを助けてあげることができたのだから、自分でもゆかいだ」
わたしたちはボブの兄弟のあとについて、いくつか折《お》れ曲がった静《しず》かな通りを通って、波止場《はとば》に着いた。かれはひと言も口をきくことなしに、一そうの
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