まんでかみつぶしてやろうか。」
「ちびやい。ちびやい。」
と口々《くちぐち》にいって、からかいました。一寸法師《いっすんぼうし》はだまって、にこにこしていました。
二
一寸法師《いっすんぼうし》は十六になりました。ある日|一寸法師《いっすんぼうし》は、おとうさんとおかあさんの前《まえ》へ出て、
「どうかわたくしにお暇《ひま》を下《くだ》さい。」
といいました。おとうさんはびっくりして、
「なぜそんなことをいうのだ。」
と聞《き》きました。一寸法師《いっすんぼうし》はとくいらしい顔《かお》をして、
「これから京都《きょうと》へ上《のぼ》ろうと思《おも》います。」
といいました。
「京都《きょうと》へ上《のぼ》ってどうするつもりだ。」
「京都《きょうと》は天子《てんし》さまのいらっしゃる日本一《にっぽんいち》の都《みやこ》ですし、おもしろいしごとがたくさんあります。わたくしはそこへ行って、運《うん》だめしをしてみようと思《おも》います。」
そう聞《き》くとおとうさんはうなずいて、
「よしよし、それなら行っておいで。」
と許《ゆる》して下《くだ》さいました。
一
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