ブレーメンの町楽隊
DIE BREMER STADTMUSIKANTEN
グリム兄弟 Bruder Grimm
楠山正雄訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)粉ひき所《じょ》
[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)つみごえ[#「つみごえ」に傍点]
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主人もちのろばがありました。もうなが年、こんきよく、おもたい袋をせなかにのせて、粉ひき所《じょ》へかよっていました。さて、年をとって、だんだんからだがいうことをきかなくなり、さすがにこのうえ追いつかうのがむりだとわかると、主人は、ここらでろばのかいぶちをやめたものか、と考えだしました。ところで、ろばは、さっそくに、こりゃ、ろくなことではないとさとって、逃《に》げだして、ブレーメンの町をめあてに、とことこ出かけました。そこへ行ったら、町の楽隊《がくたい》にやとってもらえようという胸算用《むなざんよう》でした。
しばらくあるくうちに、往来《おうらい》に一ぴき、りょう犬が、だるそうにころがって、口ばかりあけて、はっは、はっは、あえいでいるのに出あいました。それはさんざん野山をかけあるい
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