ごをつたわって来ます。ジャックは、気が気ではありません、身のかるいのをさいわいに、ハープをかかえたなり、はしごの途中《とちゅう》、つばめのようなはやわざで、くるりとひっくりかえって、たかい上からとびおりました。そこへおかあさんが、斧をもってかけつけたので、ジャックは斧をふるって、いきなり、はしごの根もとから、ぷっつり切りはなしました。そのとき、まだ、はしごの中ほどをおりかけていた大男が、切れた豆のつるをつかんだまま、大きなからだのおもみで、ずしんと、それこそ地びたが、めりこむような音を立てて、落ちてきました。そして、それなり、目をまわして死んでしまいました。
 ちょうどそのとき、いつぞや、はじめてジャックにあって、道をおしえてくれた妖女が、こんどはまるでちがって、目のさめるように美しい女の人の姿になって、またそこへ出て来ました。きらびやかに品のいい貴婦人《きふじん》のような身なりをして、白い杖を手にもっていました。杖のあたまには、純金《じゅんきん》のくじゃくを、とまらせていました。そしてふしぎな豆が、ジャックの手にはいるようになったのも、ジャックをためすために、自分がはからってしたこと
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