かまわず、のばせるだけ足をのばして、たずねさせました。
そのあくる日、こびとはやってきました。お妃は、ここぞと、カスパルだの、メルヒオールだの、バルツェルだの、でまかせな名前からいいはじめて、およそ知っているだけの名前を、かたはしからいってみました。でも、どの名前も、どの名前も、いわれるたんびに、
「そんな名じゃないぞ。」と、こびとは首をふりました。
二日《ふつか》めに、お妃は、つかいのものに、こんどはきんじょを、それからそれとあるかせて、いったい世間《せけん》では、どんな名前をつけているものか聞かせました。そうして、こびとがまたくると、なるたけ聞きなれない、なるたけへんてこな名前ばかりよっていいました。
「たぶん、リッペンビーストっていうのじゃない。それとも、ハメルスワーデかな。それとも、シュニールバインかな。」
でも、こびとはあいかわらず、
「そんな名じゃないぞ。」と、いっていました。
さて、三日めになったとき、つかいのものはかえってきて、こういう話をしました。
「これといって、新しい名前はいっこうにたずねあたりませんでしたが、ある高い山の下で、そこの森を出はずれたところを
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