もみの木
GRANTRAEET
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen
楠山正雄訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)森《もり》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#挿絵(fig44432_01.png)入る]
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[#挿絵(fig44423_01.png)入る]
 まちそとの森《もり》に、いっぽん、とてもかわいらしい、もみの木がありました。そのもみの木は、いいところにはえていて、日あたりはよく、風とおしも十分《じゅうぶん》で、ちかくには、おなかまの大きなもみの木や、はりもみの木が、ぐるりを、とりまいていました。でもこの小さなもみの木は、ただもう大きくなりたいと、そればっかりねがっていました。ですから森のなかであたたかいお日さまの光のあたっていることや、すずしい風の吹くことなどは、なんともおもっていませんでした。また黒いちごや、オランダいちごをつみにきて、そこいらじゅうおもしろそうにかけまわって、べちゃくちゃおしゃべりしている百姓のこどもたちも、気にかからないようでした。こども
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