uそうだ。おれもお礼になにかしてやろう。」と、あきんどのむすこはおもいました。そこで、流星花火だの、南京《ナンキン》花火だの、ありとあらゆる花火を買いこんで、それをかばんに入れて、空のうえにとび上がりました。
ぽん、ぽん、まあ、花火がなんてよく上がることでしょう。なんて、いせいのいい音を立てることでしょう。
トルコ人は、たれもかれも、そのたんびに、うわぐつを耳のところまでけとばして、とび上がりました。
こんなすばらしい空中|現象《げんしょう》を、これまでたれもみたものはありません。そこで、いよいよ、お姫さまの結婚なさるお相手は、トルコの神さまにまちがいなしということにきまりました。
むすこは、かばんにのったまま、また森へおりていきましたが、「よし、おれはこれから町へ出かけて、みんな、おれのことをどういっているか、きいてこよう。」とかんがえました。なるほど、むすこにしてみれば、そうおもい立ったのも、むりはありません。
さて、どんな話をしていたでしょうか。それはてんでんがちがったことをいって、ちがった見方をしていました。けれども、なにしろたいしたことだと、たれもいっていました。
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