をついで、代《かわ》りにはたらいてくれる子どもがないので、あいかわらず夏も冬もなしに、水田《すいでん》のなかにつかって、ひる[#「ひる」に傍点]やぶよ[#「ぶよ」に傍点]にくわれながら汗水《あせみず》たらしてはたらいて、それでもひまがあると、水に縁《えん》のある神様だというので、水神《すいじん》さまのお社《やしろ》に、夫婦しておまいりしては、
「神さま、神さま、どうぞ子どもをひとりおさずけくださいまし。子どもでさえあれば、かえる[#「かえる」に傍点]の子でも、つぶ[#「つぶ」に傍点]の子でもよろしゅうございます」
といって、一生《いっしょう》けんめいいのりました。
するとある日、きゅうにおかみさんは、からだじゅうがむずむずして、赤ちゃんが生みたくなりました。
「そらこそ水神《すいじん》さまのごりやくだぞ。さあ、早く神だなにお燈明《とうみょう》を上げないか」
こういってさわいでいるうちに、おぎゃあともいわずに赤ちゃんが、それこそころりと、往来《おうらい》さきに、まるい石ころがころげ出すようにして生まれました。
まったくの話、この子は、石ころのようにちいさく、まるっこいので、つぶ[#
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