、四《よ》つ足《あし》があって、自由《じゆう》に陸《おか》の上が歩《ある》けるのでございます。」
 そこでくらげが呼《よ》び出《だ》されて、お使《つか》いに行くことになりました。けれどいったいあまり気《き》の利《き》いたおさかなでないので、竜王《りゅうおう》から言《い》いつけられても、どうしていいか困《こま》りきってしまいました。
 くらげはみんなをつかまえて、片《かた》っぱしから聞《き》きはじめました。
「いったい猿《さる》というのはどんな形《かたち》をしたものでしょう。」
「それはまっ赤《か》な顔《かお》をして、まっ赤《か》なお尻《しり》をして、よく木の上に上《あ》がっていて、たいへん栗《くり》や柿《かき》のすきなものだよ。」
「どうしたらその猿《さる》がつかまるでしょう。」
「それはうまくだますのさ。」
「どうしてだましたらいいでしょう。」
「それは何《なん》でも猿《さる》の気《き》に入《い》りそうなことを言《い》って、竜王《りゅうおう》さまの御殿《ごてん》のりっぱで、うまいもののたくさんある話《はなし》をして、猿《さる》が来《き》たがるような話《はなし》をするのさ。」
「でもど
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