るものか。生《い》き肝《ぎも》を取《と》られれば命《いのち》がなくなるよ。ごめん、ごめん。」
こういって猿《さる》は木の上から赤《あか》ンべいをして、
「それほどほしけりゃ上《あ》がっておいで。くやしくも上《あ》がれまい、わあい。わあい。」
と言《い》いながら、赤《あか》いお尻《しり》を三|度《ど》たたきました。
いくらばかにされても、くらげはどうすることもできないので、べそをかきながら、すごすご竜宮《りゅうぐう》へ帰《かえ》っていきました。
竜宮《りゅうぐう》へ帰《かえ》ると、竜王《りゅうおう》はじめみんな待《ま》ちかねていて、
「猿《さる》はどうした。どうした。生《い》き肝《ぎも》はどうした。どうした。」
と、大ぜいくらげを取《と》りかこんでせき立《た》てました。
外《ほか》にしかたがないので、くらげはせっかく猿《さる》をだまして連《つ》れ出《だ》しながら、あべこべにだまされて、逃《に》げられてしまった話《はなし》をしました。すると竜王《りゅうおう》はまっ赤《か》になっておこりました。
「ばかなやつだ。とんまめ。あほうめ。みんな、こらしめのためにこいつの骨《ほね》のなく
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