もので、昔の、玩具みたいな人造人間のように、ちゃんと一個所に立ったままで、このスイッチを押せば右手を挙げ、このスイッチを押せば声を出す、といったような、有線操縦ではなくて、無線操縦よりも、更にもう一歩進んだ、寧ろ、神秘的なといった方がいいかも知れないが、『脳波操縦』という斬新な方法を採ったことですよ」
森源は、昂然と眼を挙げた。
「脳波操縦――?」
私は、思わず森源の眼を見かえした。
「そうです、脳波操縦です、恐らく、こんな言葉を、聞かれたことはないでしょう――無理もないですよ、これは私の作ですからね。これは、一言でいえば、人間が脳を働かすと、そこに一種の電気が起るんです。これは極く微細なものですけれど、鋭敏な電極をもって、その確かに存在していることが確かめられるばかりでなく、それを増幅して、オッシログラフに取ることも出来るのです――。ところが、そのオッシログラフによって見ると、脳の発する電磁波つまり脳波は、声波と同様に変化するのを知ったのです。
早い話が『よし』というのと『いな』というのでは、瞭《あき》らかに声波が違います――違わなければ、判別出来ないわけですからね――と同じで
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