る美少女として、かすかながら好もしさを、いや、恋を覚えていた相手が、なんと電気人間であったとは――。文字通り愕然として、床に伸びているルミを見なおした。
然し、そう聞いても、まだルミが人造人間だとは肯けなかった。
なんという精巧品であろう、本物の人間の中にすら、ルミよりも粗悪品がかなりいるに相違ない。
「この美しい皮膚、瞳、これが人造でしょうか?」
「…………」
森源は、そうです、というように、こっくりと頷くと、軈《やが》て思いきったように話し出した。一旦、口をきると彼の言葉は次第に熱を帯びて、想像もしなかったような、奇怪な事柄が、科学者らしいハッキリとした断定的な響きをもって、くり拡げられて行った。
「そうです、この皮膚は、極めて精巧なラバー・スキンです、恐らくこれだけでも一般に知れたならば、整形外科の大革命だといってもいいかも知れません。痣《あざ》や火傷のひっつりは見事に修覆されるでしょうし、その他の顔に瘢痕のある人、ひどく顔色の悪い人なども、このラバー・スキンをつけることによって、見違えるような溌剌とした美しい容貌となることが出来るんです。つまり化粧法も一大革命を受けるわけ
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