人間以上に五月蠅《うるさ》いもんでしょうね」
「まあ……」
 彼女は、そういって眼を見張ってから
「あら、左の眼が膨《は》れてますわ、湿布したら……」
 と、痣《あざ》を見つけてしまった。
 村田は、美都子に、その膨れぼったい眼を湿布されながら、はじめて、テレたように笑っていた。
[#地付き](「ユーモアクラブ」昭和十五年二月号)



底本:「火星の魔術師」国書刊行会
   1993(平成5)年7月20日初版第1刷発行
底本の親本:「百万の目撃者」越後屋書房
   1942(昭和17)年発行
初出:「ユーモアクラブ」
   1940(昭和15)年2月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志
校正:川山隆
2006年12月30日作成
青空文庫作成ファイル:
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