梅かをる窓のひさしに月させばやすらはでこそ起き明しつれ

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大隅国の加治木にありて。
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磯ちかく旅寝をすれば夜もすがら網引《あびき》やすらし※[#「楫+戈」、第3水準1−86−21]《かぢ》の音《と》ぞする

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衣。
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よき衣《ころも》伏籠《ふせご》にかけてそらだきの香を染《し》めてこそ著まくほしけれ

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しばしば処をかへて家居も定らねば。
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世にからく汐路ただよふ水母《くらげ》にもわれよく似たり住処《すみか》なければ

蚕《こ》の繭《まゆ》の二《ふた》ごもりにもわれ似たり人の家のみ宿とすまへば

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古事記を講じける時。
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千速ぶる神も荒《あら》びの罪しあれば千座戸《ちくらど》課《おは》せ神やらひせし

世は斯くぞ宇多の宇迦斯《うかし》に兄弟《えおと》あれど兄《え》は帰服《まつ
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