実のちるおとさむし山寺の庭
世には似ずにほひめでたしわが山は紅葉も人に媚びぬなるらん
山寺の棚橋くぐるやり水も見えぬばかりに紅葉こぼるる
[#ここから3字下げ、1行20字組みで]
旅中。
[#ここで字下げ、20字組み終わり]
ひとり行く影さへ細き夕づく日きゆる末より降る時雨かな
[#ここから3字下げ、1行20字組みで]
落葉。
[#ここで字下げ、20字組み終わり]
蜘蛛《ささがに》の糸にかかりて黄ばみけり秋の形見の楢《なら》の一つ葉
[#ここから3字下げ、1行20字組みで]
蝶。
[#ここで字下げ、20字組み終わり]
うかれきて花の木の間にぬる蝶は誰が山踏《やまぶみ》の夢路なるらん
[#ここから3字下げ、1行20字組みで]
高野川のほとりに住みける頃。
[#ここで字下げ、20字組み終わり]
春の夜は隙間《すきま》がちなる宿もよし閨もる風に梅が香ぞする
[#ここから3字下げ、1行20字組みで]
見たるままを。
[#ここで字下げ、20字組み終わり]
岡の辺や土とる穴の片くづれさかさまに咲くしら梅の花
[#ここから3字下げ、1行20字組みで]
山吹。
[#ここで字下
前へ
次へ
全79ページ中27ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 礼厳 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング