婦人雑誌と猫
山本宣治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)女性尊重主義《フエミニズム》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)風のまに/\
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我日本の性研究の或者が唯一の虎の巻として居る『性の心理』の著者ハヴェロック・エリスは、性学の大家であり医学者であると同時に、極めて勝れた文人である。此人が近頃著はした『随想録』第二巻(Havelock Ellis, 1921 : Impressions & Comments. 2nd. Series.)の序に、自分も老境に入つて、今迄事に触れ感じた事共を将来系統だつた著述にする事も覚束無いから、取敢へず所感を順序も無く書き列ねて公けにしたいと述べて居る。
即ち「秋になれば、木の葉ももはや何の生活作用を営む必要が無い事を、我々は承知して居る。それらの葉が木に縋りついて居るべき必要は無い。そこでそれらを木枯しの風のまに/\吹き散らさせて見よう。」斯く吹き散らされて来た葉の幾つかの内、私の目に触れて面白かつたものを二つ程紹介して見よう。
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「八月十五日、
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