富むのは記者と読者との問答で、色々の問題が論じられて居る。例へば今仮に、或女は或男を好いて居ます、そして其男も其女を好いて居るやうに女自身も思ふて居ますが、其男は口に出して何も申しませぬ、記者様、此際何としていゝものか、どうぞ教へて下さいませ、とある。其れに対しての答は、此問が極めて真面目な事を認めて、親切に賢明にさながら母の様に、此小天地の中の読者の頭の程度に応じて、立派に調子を取つて答へてある」。
「併し彼女達の世界は何と小さいものだらう。斯様に狭く、又石器時代の様に斯くも古い、又いぢらしい程単純で善良で柔和で謙遜で、徹頭徹尾女らしく出来て居る。此薄つぺらな月並雑誌の悪い印刷の頁を繰る時、一滴の涙を落とすまいと努めても困難である。」
[#ここで字下げ終わり]
日本で何々世界とか何々の友とかいふ雑誌は、決して薄つぺらでもない、又其印刷は不鮮明でもないが、エリス老人に見せたら、矢張一滴の涙を濺ぐだらう。併し中にアインシュタインの相対律解説などを堂々とのせて居るのもあるから、流石は日東島帝国の婦人文化はえらいものと感心して其涙を引込ますか、それ共又感涙に咽ぶかも知れぬ。扨て其感想はそ
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