ち》の天の川しろうも見えて風する夜かな
蓮《はす》きると三寸とほき花ゆゑにみぎはの人のさそはれし舟
憂ければぞ爪《つめ》に紅《べに》せぬ夕ぐれを色は問はずて衣《きぬ》もてまゐれ
舟にのれば瓔珞《えうらく》ゆらぐ蓮《はす》のかぜ掉のひとりは袞竜《こんりよう》の袖
しら蓮や唐木《からき》くみたる庭舟《にはぶね》に沈《ぢん》たきすてて伯父の影なき
われを問ふやみづからおごる名を誇る二十四|時《とき》を人をし恋ふる
ここすぎて夕立はしる川むかひ柳|千株《せんしゆ》に夏の雲のぼる
水浴《みあ》みては渓の星かげ髪ほすと君に小百合の床をねだりし
百合がなかの紅百合《べにゆり》としものたまふやをかし二人《ふたり》の君が子の母
誰れが子かわれにをしへし橋納凉《はしすゞみ》十九の夏の浪華《なには》風流《ふうりう》
露の路畑をまがれば君みえず黍《もろこし》の穂にこほろぎ啼きぬ
鳥と云はず白日《はくじつ》虹のさす空を飛ばば翅《はね》ある虫の雌雄《めを》とも
夏の日の天日《てんじつ》ひとつわが上《うへ》にややまばゆかるものと思ひぬ
百間《ひやくけん》の大き弥陀堂ひとしきり煙みなぎり京の
前へ
次へ
全33ページ中23ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
山川 登美子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング