や着ぶくれているような羽毛の落ちつきのない恰好に、まだ育ちきらないあどけなさが見える。子供が網の目からミミズを垂らしてやると、ちょっとすざって赤い口を開け、カッカッカッとせっかちに鳴きたてながら羽ばたきした。羽の先きが切ってあって、変にちび[#「ちび」に傍点]てぶざまに見えた。
 金網の中には欠けた小鉢があって、御飯つぶが散らかっていた。仔鴉がミミズに取り合わないのを見とどけると子供等は、今度は戸を開けて引き出しにかかった。しばらくしてヨチヨチと戸のところまで寄ってきたが、すぐに網の中に戻って、それなりうずくまった。
 まだ雛のうちに巣からさらってきたということが子供の説明で分った。残飯で育ててきたのだったが、今では御飯つぶ以外のものをやっても喰べないという。先だっても蛙の肉をやって試してみたが駄目だったと子供等は残念そうだった。
 ミミズの匍いまわる金網の中に、すくんだような眼いろをしている仔鴉を見ながら清子は良人を思い出した。いつだったか、生れて初めての雑誌社の座談会に招ばれて支那料理の馳走になったことがあったけれど、帰宅すると早々腹痛をおこして、御馳走はこりごりだと言った。変った
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