家常茶飯
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke
森鴎外訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)大窓《おおまど》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)コニャック一|瓶《びん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ]
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     第一場

[#ここから4字下げ]
広き画室。大窓《おおまど》の下に銅版の為事《しごと》をする卓《たく》あり。その上に為事半ばの銅版と色々の道具とを置きあり。左手に画架。その上に光線を遮るために使う枠を逆さにして載せあり。室《しつ》の真中《まんなか》に今一つの大いなる画架あり。その脇《わき》に台あり。その上に色々の形をなしたる筆立《ふでたて》に絵筆を立てあり。筆立の中《うち》には銅器にて腹のふくらみたるも交《まじ》れり。絵具入《えのぐいれ》になりおる小さき箪笥《たんす》。その上には色々の雑具を載せあり。その内に小さき鏡、コニャック一|瓶《びん》、小さきコップ数個、紙巻莨《かみまきたばこ》を入れたる箱、菓子を入れたる朱色の日本漆器などあり。その傍《
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