》 que《キヨ》 leur《リヨオル》 pe`lerinage《ペレリナアジユ》 est《エエ》 agre'able《アグレアアブル》 a`《ア》 Dieu《ヂヨオ》〕.」(あの人達に聞いて御覧なさい。巡礼をすると云ふ事が実際神様の気に入ることだと心から思つてゐるのでせうか。)此詞はロシア語で巡礼に取り次がれた。
 婆あさん達が答へた。「それはどうお思なさらうと、神様次第でございますよ。わたくし共は足でだけは御奉公をいたしてゐますが、胸で御奉公をいたしてゐると申して宜しいやら、そこまでは分りません。」
 次に癈兵が同じ事を問はれた。
 癈兵は答へた。自分は真の独身者で、どこに足を留めてゐると云ふ事も出来ないので、かうしてさまよつてゐるのだと云つたのである。次にセルギウスが問はれた。「神の奴僕《ぬぼく》の一人でござります。」
「Qu'est《ケエ》 ce《シヨ》 qu'il《キル》 dit《ヂイ》? 〔Il《イル》 ne《ヌ》 re'pont《レポン》 pas《パア》.〕」(あの男はなんと云ひますか。返事にはなつてゐないやうですが。」
「Il《イル》 dit《ヂイ》, qu'il《キル》 est《エエ》 un《アン》 serviteur《セルヰトヨオル》 de《ド》 Dieu《ヂヨオ》.」(あれは自分が神の奴僕だと云つてゐます。)
「〔Il《イル》 doit《ドア》 e^tre《テエトル》 un《アン》 fils《フイス》 de《ド》 pre^tre《プレエトル》.〕 Il《イル》 a《ア》 de《ド》 la《ラ》 race《ラアス》. Avez《アヱエ》−|vous《ヴウ》 de《ド》 la《ラ》 petite《プチト》, monnaie《モンネエ》?」(あの男は司祭の倅かなんかでせう。品が好いですね。あなた小さいのがございますか。)
 フランス人はポツケツトを探つて、小銭を出して、巡礼一人に二十コペエケンづゝ遣つた。「Mais《メエ》 dite《ヂツト》 leur《リヨオル》 que《キヨ》 ce《シヨ》 n'est《ネエ》 pas《パア》 pour《プウル》 les《レエ》 cierges《シエルジユ》, que《キヨ》 je《ジユ》 leur《リヨオル》 donne《ドンヌ》, mais《メエ》 pour《プウル》 qu'ils《キル》 se《ス》 〔re'gal
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