Sketches for details Shima
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「武」の「弋」が「戈」、583−8]
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○床の間の上の長押に功七級金鵄勲章の金額のところはかくれるような工合に折った書類が 茶色の小さい木の椽に入ってかかっている、針金で。
○大きい木の椽に、勲八等の青色桐葉章を与う証が入っている。
「三万五千五百八十四号ヲ以テ勲等簿冊ニ記入ス」
書院の袋戸棚 四枚の芭蕉布にぼんやり雪舟まがいの山水を書いたもの、ふたところ三ところ小菊模様の更紗でついであって、いずれも三[#「三」に「ママ」の注記]水がくすぶっている。
その上に 山静水音高 と書いた横ものがかかげられている。
○馬が三頭いた。二頭になり、やがて一匹で自動車。
麦を煮る、わらを切る、草をかう(二三十銭)
○前の田を寺からかりて試作する。肥料の。「あの肥料をつかってこないよう出来たと見せようちゅうところの」
苅ったところで達治とキャッチボール
○多賀さんの山 が右手
寺の山 左手
むこうはAの家。
赤いみやこに襦袢で一日水づかいしている馬鹿でキリョウよしの女房
○家の並んで岬のように出ている四つの棟[#図1、絵「四つの棟」]棟と棟との間に横タテに雨樋が通っている。
○家の中にいてきく雨樋の音、
○瓦のメジがころがりこんで樋がつまって溢れる、
○兼サアから魚を買う、自転車。うしろに魚かごをつけて。
前の家、トタン屋根、青く土のかびた土間、
裏、青みどろの浮いている水たまりを隔ててすぐ小高い線路
○三角形の空地 鶏、うさぎの棚。
○むこうの森 島田川
○家じゅうに戸棚が三尺の一間の一間ぐらいしかない。板の間に長持、その上に布団や何かごたごたつみ上げてある。さらさ 大きい嫁入紋のついた布団など。
○漬物がうまくつかっていない、うまいつけものをチビチビ食べるような暮しでない。激しくて。
○一つ角をまがって裏へ出ると もうすっかり田舎。(一側の町どおり。)
朝鮮人の藤色のチマが乾して、ある。
◎雪輪の中に梅と菊との花をすり出した、あとはくもりの小さい硝子の入った障子。
○白キャラ
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