ラを拾い上げた。彼は、顎の辺が俄かに蒼白になったような表情で顔を歪めながら、世にも躊躇せぬ手軽さで熊蠅をその紙の中にまるめ込んでしまった。源一は肱掛窓の格子の隙から、ボールを投げるように境のトタン塀に向ってそれを投げつけた。



底本:「宮本百合子全集 第二巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年6月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第二巻」河出書房
   1953(昭和28)年1月発行
初出:「若草」
   1926(大正15)年10月号
入力:柴田卓治
校正:原田頌子
2002年1月23日公開
青空文庫作成ファイル:
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