うとしている。だがそれは全く文字通り苦難の闘争を通じての建設の十五年であったのだ。
革命後より第一次五ヵ年計画の開始に至る期間には何があったか。世界帝国主義の武力的干渉と経済的封鎖、国内では帝国主義戦争につぐ内乱のために必然に起った経済的諸組織の破壊による疲弊。ソヴェト政権の転覆を目指す反革命的旧不平分子のサボタージュ。しかし、戦時共産主義の血みどろの苦難にみちた闘争の後に「産業の建設の段階」が来た。全国民経済を新しい技術的基礎の上に建設する段階が出来た。この期間においても決して建設は旧ブルジョア分子、腐敗しつつある列国資本主義側の干渉の陰謀とデマゴギーとの闘争なしに行われたのではなかった。だが、第一次五ヵ年計画から第二次五ヵ年計画に至る社会主義建設の巨歩は、ソヴェト同盟の労働者農民の勝利に揺ぐことのない基礎をおいた。右翼的日和見主義を撃破し、トロツキーの極左的敗北主義に対して、建設の全事実が一国社会主義の可能を証明した。
三、ソヴェト同盟の国家体制と日本の国家体制
社会主義建設の闘争は、ひとりでに行われているのではない。ボルシェビキ党、即ち今日の共産党[#「共産党」に×傍点]の絶えざる指導が、革命前と同じくこの建設を貫いている。
この党こそ、資本主義から社会主義の間に通らなくてはならぬプロレタリアートの独裁[#「独裁」に×傍点]を維持しているのだ。プロレタリアートの独裁[#「独裁」に×傍点]の必要と意義は何処にあるか。それはプロレタリア階級のみが決定的に最後まで何等の動揺なしに資本主義と闘い得るからだ。ブルジョアジーの支配を革命で倒した後にも、資本主義的分子は一挙にして消えて了いはしない。プロレタリアートは自己の敵を倒し、資本主義の復興と闘い、中農の動揺を克服し、階級を絶滅するためにプロレタリアートの独裁[#「独裁」に×傍点]の国家を必要とする。
スターリンは何故プロレタリア独裁[#「独裁」に×傍点]の国家が組織されるかについて次のように説明している。
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
一、革命によって倒壊された地主及び資本家の反抗を粉砕し、資本の支配を復活せしめようとする彼等のあらゆる企図を一掃すること。
二、すべての勤労者をプロレタリアートを中心に糾合する精神の下に建設事業を組織すること、且つこの仕事を階級の清算と絶滅とに導く方向を目指して継続すること。
三、革命の武装、国外の敵、即ち帝国主義との闘争のための革命軍の組織。
[#ここで字下げ終わり]
プロレタリアートの独裁[#「独裁」に×傍点]はこれらの任務の遂行のために必要なのである。このプロレタリア独裁[#「独裁」に×傍点]は、出来合の国家機関で間に合すことは出来ない。
「労働者階級は単に出来合の国家機関を占領して、それを自分自身の目的のために運転することは出来ぬ」(マルクス)プロレタリアートは自身の新しい国家機関を組織するためには、旧い国家権力を解体し、粉砕し、それを全く廃棄しなければならぬ。このことはプロレタリアートの武装による独裁[#「独裁」に×傍点]によってのみ可能である。「独裁[#「独裁」に×傍点]は新しい階級が旧い国家機関の助けによって命令し、管理するということのあるを許さない。反対に新しい階級がこの機関を粉砕し、新しい機関の助けによって命令し、管理するということにあるのでなければならぬ。」
「ソヴェトこそ、ブルジョア民主主義をプロレタリア民主主義におきかえ、プロレタリアの国家機関の基礎となる新しい組織形態である。プロレタリア独裁[#「独裁」に×傍点]の国家形態としてのソヴェト権力は、旧き組織形態と比べて比較にならぬ『力』を持っている。」
「それは、ソヴェトが最も包括的なプロレタリアートの大衆組織である点である。何故ならソヴェトは、そしてソヴェトのみがすべての労働者を例外なく獲得するからである。それは、ソヴェトがすべての被圧迫者と被搾取者、労働者と農民、兵士及び水夫を包括する唯一の大衆組織であり」、「大衆自身の直接の組織、即ち最も民主主義的な、従って最も権威ある大衆組織であり、新国家の建設及びその行政への参加を極めて容易くすると共に旧国家の破壊、新国家の建設、プロレタリア秩序のための闘争において、大衆の革命的勢力、創意及びその創造力を遺憾なく発揮せしめ得る点にある」(スターリン)
我々は、次にこのソヴェト権力の特質を見よう。
(一)「ソヴェト権力は、階級が存在する限りはあらゆる国家組織の中での最も偉大な且つ最も民主主義的な組織である。」しかしそれは、労働者と貧農が搾取者に対して結合し、勤労者多数者が搾取する少数者に対して支配する国家である。
だから、プロレタリアートの独裁[#「独裁」に×傍点]を非難する「自由主
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