地主による半農奴的な搾取がつづけられている。労働者は、ヨーロッパの労働者と同様の生産性をもっていながら、殖民地の労働者と同じ状態におかれている。「飢餓的労働賃銀、長い労働時間、兵士のような束縛、年期契約労働、社会立法の欠如と完全な政治的無権利――これこそ、日本労働者階級の状態を特徴づけるものだ。」(日本の状勢、日本共産党[#「日本共産党」に×傍点]の任務)(独文「コンミュニスト・インテルナチョナーレ」)
そして、労働者・農民に対するブルジョア・地主の搾取の基礎の上に、野蛮な天皇制[#「天皇制」に×傍点]支配が根を下しているのだ。日本帝国主義は、国内においては、農村の半封建的搾取、労働者の殖民地的搾取、国外においては、暴力的・軍事的に隣接民族を併呑《へいどん》、侵略、殖民地化して、成長してきたのである。そして、有名な「田中覚え書」が示すように侵略政策こそ、二つの搾取階級の野蛮な代表者、天皇制[#「天皇制」に×傍点]支配の政策であったのだ。
それだから、日本労働者・農民の前衛は、ブルジョア民主主義革命[#「革命」に×傍点]を通じて強行的にプロレタリアートの独裁[#「独裁」に×傍点]に到達するべく闘っている。そして、現在、ブルジョア民主主義革命[#「革命」に×傍点]の段階では次のような任務を掲げて広汎な大衆闘争をまき起している。
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一、天皇制の廃止[#「天皇制の廃止」に×傍点]
二、寄生的土地所有の廃止
三、七時間労働制の実現
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そして、革命的プロレタリアートは、行動スローガンとしては次のものを掲げている。
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一、帝国主義戦争反対、帝国主義戦争の内乱[#「内乱」に×傍点]への転化。
二、ブルジョア=地主的天皇制の廃止[#「天皇制の廃止」に×傍点]、労働者・農民ソヴェト政府の樹立。
三、一切の地主、皇室[#「皇室」に×傍点]及び社寺の所有土地の無償没収[#「無償没収」に×傍点]、農民への交付。地主、高利貸及び銀行に対する農民の一切の負債の完全な棒引。
四、七時間労働制及び労働者の状態の根本的改善。階級的労働組合の組織化と活動の自由。
五、日本帝国主義の軛《くびき》からの殖民地(朝鮮、満州、台湾、その他)の解放。
六、ソヴェト同盟及び中国革命の擁護。
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諸君は、これらの任務を達成することは、決して遠い将来のことと思ってはいけない。ソヴェト同盟の兄弟は、実に、闘争によって、我々が今掲げているスローガンに相当する目的を美事に闘いとり、遂にプロレタリア革命[#「革命」に×傍点]を通じて支配者となったのだ。彼等は、野蛮なツァー[#「ツァー」に×傍点]を倒し、ブルジョア・地主の政府を倒し、遂に今日の幸福な生活を戦いとったのである。彼らは、我々が今掲げているスローガン「帝国主義戦争を内乱[#「内乱」に×傍点]へ転化し」武器を支配階級に向け、今日の赤軍をつくった。
我々も、ソヴェト同盟の兄弟たちの英雄的闘争に学ぼうではないか。既に、我々のところにも、労働者・農民の大衆的闘争は、革命的プロレタリアートの指導の下にまき起っている。我々は、我々の闘争を更に勝利の確信をもって、戦うため、そして多くの教訓を得るために、いかなる闘争を通じてソヴェト同盟の兄弟たちは、勝利をかち得たかを次にみよう。
二、ソヴェト同盟の兄弟たちは、どんな闘争を通じて勝利を得たのか
今から十五年前まで、ロシア勤労大衆の生活というものは、ヨーロッパ資本主義国の中でも、最悪のものであった。皇帝《ツァー》は絶対専制主義で、大地主であり同時に大資本家であった。土地は大地主に独占され、僅か「七百人の地主が平均して各々三万デシャチンの田地を処理し、この七百人が、六十万の小所有者の三倍の田地を所有している」(レーニン)ほどであった。当時のロシア農民は高率な小作料をいたぶられ、しかも丁度日本における地主が小作料の封建的搾取のみを行って、近代企業として農業の機械化などを考慮しなかったと同じく、原始的な耕作法に放置せられておった。大地主は、農地全面積の四分の三を占めていたが、その五分の一しか耕作されていなかった。
工場の労働者の生活がどんな非人間的条件であったか、「搾るための物を言う家畜」として扱われていたかは、ロシア全土の文盲率が世界資本主義国第一位を占めていたのでも明らかである。ロシアの労働者の労働賃銀は、西欧のそれより幾倍も安かった。外国資本が国の工業に喰い入っていた。労働時間は十時間から十三時間で、繊維労働者は一ヵ月十五(円)の賃銀さえやっととった。〔三字伏字〕の搾取、抑圧のための政府は、全力をつくしてこのような劣悪な生活条件を蹴散らして、奮起しようとす
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