えCちゃん、今日は私一度もAちゃんに会わないのよ。
 どうしたんでしょう。
C ほんとにねえ。
 若しかひょっとしたら病気なんじゃあないの?
B そうねえ。
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Bは何か思い出すらしく考えて居る。
やがて思いついたらしく、膝を叩いて嬉しそうに笑いながら、
[#ここで字下げ終わり]
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B Cちゃん、私共はまあ、馬鹿な心配をしちゃったわ。
 ほら、貴方おぼえてない?
 こないだこの次《つぎ》のお祭りの日に町の叔母さんのところへおよばれだって云ってたじゃないの。
 今日はそれで行ったのよ、ね?
 そうじゃあなくって。
C そう云えばそうねえ、ほんとに。
 私もうすっかり忘れて居たわ。
 じゃあ、もうじき此処を通るでしょうね。
 少しお家へ帰るのをおそくして一緒に行きたいわ。
 貴方、そうしなくって?
B ええ、ええ、ほんとにそれがいいわ。
 もう少し待ってて見ましょうね。
 きっとお土産を沢山《どっさり》抱えて来るに違いないわ。
C 私町のお話をききたいわ。
 可愛い児が沢山居るんだってねえ。
 大きなお家がならんでるんだってね
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