燃えている心をうちあけて相談しあい、それを実行に移して勤労者の善意というものはどういうものかということを自分にも人々にもはっきりさせてゆこうという正直で熱心な意図にたっている会議だと思う。だから会議では多くのことが率直に現実的に討論されることを希う。
 日本の今日の矛盾が文化面にもたらしているあらゆる矛盾と偽瞞と不明瞭さがとりあげられ調べられるだろう。私たちの実力の乏しさや技術の下手さや智恵の乏しいということもわかるだろう。それだからこそ全国的な規模でこの会議のもたれる値うちがある。会議の何よりの価値はその諸問題が盆の上で豆をよりわけるようにぞうさなく処理されてゆくのではなくて、私たちが自分たちが自分たちの運命の主人公になるには、どれ程の事業をなし、どれ程の実行力と忍耐と明瞭で生一本な民主的発展への誠実な情熱を必要とするかを学ぶところにあるのだと思っている。私はこうした立場から終戦後の文化動向に関する一般報告を文化、芸術の面から行いたいと思う。[#地付き]〔一九四七年七月〕



底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年6月20日初版発行
   19
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