明日の実力の為に
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)抉《えぐ》って
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四〇年十月〕
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どんな時代でも文化について政策が考えられるとき、それが建設的でなければならないということは誰しも云っていると思う。政策という言葉に建設性がこもっているという風な解釈さえあると思う。けれども、実際にあたると、文化は複雑な有機体であって、建設的である過程も甚だいりくんでいる。
この間こんな話をきいた。明日の日本の文化と精神の建設について研究してそのための役についている人から、日本人にはもっとシェークスピアを理解させなければいけない。そう云っても「ハムレット」だの「オセロ」だの「リア王」だのを一つ一つ読んだりして理解することは一般民衆には出来ないのだから、一つあらゆるシェークスピアの作品を一つにぶちこんでとかして、その中から一つのストーリイをまとめて映画にでもすれば、日本の民衆はシェークスピアを理解することが出来るだろう。いくらか誤りがあるかもしれないが大略はそういう意味の意見を
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