の年齢のちがう母親たちは、互いに母と娘とで、二人ながらこの「デゲテ」工場に働いている婦人労働者なのであった。
「わたしはもう自分の末の子を二人ともここで育てて貰ったんですよ。……今度は私の娘が初めての子供をつれて来る番になったわけです。……わたし達の生活はすっかりここにあるんです……ねえオーリャ……」
案内してくれる文化委員は、工場学校の方へ歩き出しながら話に告げた。
「あの二人は模範的な母親たちですよ。お母さんの方は代議員だし、オーリャは党員候補です」
ソヴェト同盟の工場では五人に一人ぐらいの割合で婦人労働者の間から代議員というのを選んでいる。これは党員ではないが、ソヴェト同盟がプロレタリア・農民の国であり、社会主義の社会を建設してゆき、益々富み、階級のない社会とするためには、どういう風に働かなければならないかということを理解し、実践する婦人労働者を皆が選んで、職場でのあらゆることについての相談役、世話役、説明役となって貰うのである。ソヴェト同盟が搾り専門の社長、重役を工場から追っぱらったと同時に、監督とか世話役とか天くだりの役員を廃絶し、みんなが順ぐり互の仕事を監督し合い、技術
前へ
次へ
全10ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング